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YUKKE

ムック・YUKKE キーワードストーリー

みなさんから募集したキーワードやテーマをもとにYUKKEがストーリーを展開!
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PROFILE

ユッケ●11/5生まれ。ロックバンド・ムックのベーシスト。8/7(日)“ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2011”、8/14(日)“SUMMER SONIC 2011”に出演。次回より本誌リニューアルのため、PCサイト「CD&DLでーた.com」とケータイサイト「CD&DLでーた.TV」限定の連載として配信。

#15:【お嫁さんになりました。】

読者から募集したキーワードやテーマをもとにYUKKEがストーリーを展開!
投稿者<パックン>さんからのお題

主人公の名前は≪杉さん≫

●キーワード
大工、湖、スルメイカ


―――アナタからしたら、きっと遊びだった。

ただの便利な女だったかもしれない。

でも、今思えば幸せな最後だったとも思う。

アナタと、ひとつになれたから―――。





ある冬の日、海に釣りにきていた男、大工の杉さんに私は恋をした。一目惚れだった。

週に3回は釣りをしにこの海にきてくれる杉さん。しかし声をかける勇気なんてない
私は、ボートの影から杉さんを眺める事しかできなかった。

そんなある日、杉さんの電話の会話を盗み聞きしてしまった。
なんと、杉さんは来週からこの海に釣りに来ることができなくなるらしい。
隣県の湖のそばに家を建てにいくことになり、現地に住み込みになるらしいのだ。

もう会えなくなっちゃう…

ショックで喪失し目の前が真っ暗になってしまった私は、立ちくらみを起こし、海に落ちてしまった。



(!!…しまった…網にかかってしまった。)
自己紹介が遅れたが私は1パイのイカです。女イカです。
そうして、私はたくさんのイカに混じって市場に卸された。

人間に恋をするなんて。と神様に笑われているような気さえしてしまうこの現実、状況。無力さに自分がイカであることを痛感させられた。


私は、400円という値段をつけられ市場に並べられた。ご丁寧に「新鮮!!!」なんて肩
書きもつけられ、シーフードである現実を更に叩き込まれた。



その時だった。たくさんの買い物客の中に、杉さんが!間違いない!杉さんだ!
きっと釣りを終えた足で買い物に来たんだ!
杉さんはどんどん私達イカのコーナーに近づいてくる。

…。杉さんの足が私の前で止まった。

(え…)

杉さんはゴツゴツしたその手で私のお腹を触り、私のたくさんの足をまさぐり…

私は杉さんに買われた。

息が止まりそうになるくらいドキドキした…。どうしてたくさんいる女イカから私を選んだのか…イカとしてなのか…女としてなのか。

私はクーラーボックスに入れられ杉さんの家へ。



大好きな杉さんの家…つい部屋中を眺めてしまう。
壁にかかってる帽子、初めて釣りにきてくれた時かぶってたやつだぁ。
わ、おっきな水槽。なんか飼ってるのかな?

好きな人の部屋の物だもん、気になる物ばかりだ。

杉さんは、アパートの鍵を机の上に置き、一息つくと私を水槽にいれた。

私だったみたい。



こうして私と杉さん、イカと人間の同棲が始まった。

杉さんが仕事に出かけてる時は私は家事を必死にする。洗濯だって少しできるようになった。

水槽の壁に必死に吸い付き、徐々に体を水槽の外に。
洗濯物入れの中に入ってるタオルをゲソで取り出し、タオルの上に乗り、身をよじらせタオルの汚れをとっていく。タオルに身体中の水分を取られて苦しいけれど、杉さんのためなら…と必死にタオルに体をこすりつけた。

10時間ほどかけて1枚のタオルを洗い終え、水槽の中に戻り杉さんの帰りを待っている。

しばらくすると、帰ってきた。杉さんは私が洗濯したタオルを見つけ手に取り、


「ん?なんだこのガビガビのタオル…もう使えんな…」
と言って、タオルを捨ててしまった。

!!

…えへへ…もっとしっかり洗わなくちゃだめだったかな…。次はがんばろう…。

こんな日が3日ほど続き、4日目の夜のことだった。

コンコン…水槽を叩く音がして私は起きた。
そこには杉さんが。杉さんは優しく私を水槽から取り出し、机の上に置いてくれた。


「実は…話があってよ…海で…オメがいっつもボートの影から俺をみてたのはしっでる。市場でみつけた時はびっくりした。おれだって…あ…いっつもこっち見でるイカだぁ思ってよ…。…そんで…家事を一生懸命やってくれでるのもしっでる…んでも来週から出張だ。オメをつれてぐわけにはいかねぇ。…最近はオメが化粧に興味もってるのもしっでる…化粧品のチラシだげ……ガビガビだったんでな…。でもな…イカのオメにはそんなもん似合わねぇ…んだから俺がおめに絶対似合うのを…女としてでなぐ…イ…イカとしてプレゼントしでやる…」

目に涙を浮かべながら杉さんはそう言うと、机に色々ならべだした、醤油、わさび…包丁…。

これって…

そうよね…。わかってる…でも…これだけは言いたい…

「イカな私とちょっとの間だったけど過ごしてくれて嬉しかった…。アナタの恋人になれた気がしてた…楽しかったありがとう…。」

ちょっと長いけど最後に言葉で、声で、伝えたい。忘れられないイカになりたい…

私は息をおもいきり吸いこみ……最後の力を振り絞って叫んだ!





「……ミ゛。」



ハァ…ハァ…精一杯だった でも…一文字だけど…声がでた…。
きっと…伝わってくr…

伝わるはずもなく、代わりに足に刺身包丁の冷たい感覚が伝わってきた…。



私は、

お刺身になりました。









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※テーマやキーワードの例は、下記のとおりです。

<キーワード例>
・モーグル、宇宙、カレーパン
・アイドル、リトマス試験紙、水中メガネ
・お母さん、メスシリンダー、内野ゴロ


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