VAMPS SPECIAL CONTENTS

破格の“新人バンド”VAMPSのポテンシャルの高さを十分に見せつけた2時間
破格の“新人バンド”VAMPSのポテンシャルの高さを十分に見せつけた2時間

仙台駅の改札を出て、Zeppに向かうコンコースの途中。
ロッカーに荷物を押し込んでいるグループのほとんどがVAMPSと大きく書かれた金色のバッグを提げているものだから、やたらと目立つ。知らない人はきっと不審に思うだろう。

かつて、映画「戦場のメリークリスマス」でグランプリ獲得を目指してベネチア映画祭に乗り込んだ大島渚監督をはじめとするスタッフ、関係者の一団はみな「OSHIMA GANG」と大書したTシャツを着てベネチアの街を闊歩し人々の注目を集めたが、この日の仙台駅前に出現したのはさしずめ「VAMPS GANG」とでも呼ぶべき一群で、彼女たちの存在は七夕(※仙台七夕祭り)を間近に控えて華やいだ雰囲気の街にさらなる彩りを加えた。

記念すべき、VAMPSとして初めてのライブ。ファンだって気合いが入っているから、地元、仙台のみならず各地からおそらく集まってきているのだろう。
Zepp前の物販場には開演3時間前の時点ですでに数百人が列を成し、例の金色のバッグをはじめVAMPSグッズの数々をいそいそと買い求め、そして開演までの時間をつぶすために街のあちこちへ散っていったわけだ。
物販場で人気を呼んでいたのは、「ポスデル」なる新兵器。
いわばポスター版ガチャガチャで、お金を入れてレバーを回すとVAMPSのポスターが出てくるのだが、15種類あるうちの何が出てくるかはレバーを回してみてのお楽しみ、という具合。

こうした、ちょっとした仕掛けにも“ライブを思いきり楽しもうゼ”というVAMPSの遊び心を感じることができるわけだが、でもこんな新兵器は序の口で、会場の中にはオーディエンスを楽しむための仕掛けがさらに用意されていた。

まず、会場の中はたとえばニューヨークのダウンタウンのように壁面がグラフィティアートで埋め尽くされている。
そして、ステージに下りた幕に映写されている時刻表示を見て、ファンはみな「19時6分開演」の意味を理解する。
「もう、やってくれるねえ(笑)」
そんなつぶやきが方々で聞かれて、会場はいよいよ開演を待つばかりとなる。

さて、注目のステージ。ヘビーなオープニングだ。
おそらくは大方の予想を裏切る1曲目、そしてそこからつながっていくタフな展開は、VAMPSというバンドのオルタナティブな指向を改めて宣言するものだろう。楽しませるだけじゃない。
しっかりと自分たちの立ち位置をアピールするには最初が肝心とでも言わんばかりにグイグイと押していく。
同時に、最初からフルスロットルで吹かしていく展開は、バンド自体の“体を温める”目的もあっただろう。
彼らはツアーを前に約10日間の合宿を行い、さらにはこの日の前日にもこのZepp Sendaiでゲネプロを行うなど入念な準備を積み重ねてきたが、それでもやはり本番をやってみないとわからないことがたくさんあるのがライブというもの。
だからこそ、いきなり最初から飛ばしていくセットリストで、バンドをツアーモードに突入させたのだろうと思う。
果たして、バンドのエネルギーの高さは相当なものだ。
アーリー&ジューケンのリズムセクションが繰り出すビートは十分に硬質で、だからこそ中盤で披露された「HORIZON」のような曲のロマンティックな広がりがいっそう印象的に感じられた。
そして、そこで表現された叙情性が加速していく後半のスピード感にいっそうのキレを感じさせるという展開。
アンコールで、まさに満を持してのシングル曲「LOVE ADDICT」が演奏されると、これはもう盛り上がらないはずがない。破格の“新人バンド”VAMPSのポテンシャルの高さを十分に見せつけた2時間だった。 もっとも、メンバー紹介の際のなんだかおぼつかない感じはいかにも“新人バンド”で、そのあたりは回を重ねるごとにこのバンドの“味”に昇華されていくのだろう。
いずれにしても、上々の滑り出しであることは間違いない。
さて、このバンド、最初のツアーでどれだけ遠いところまで行き着くのか。ぜひ、しっかりと追いかけたい。

(撮影●田中和子 取材・文●兼田達矢)