VAMPS SPECIAL CONTENTS

“果たしてオマエたちはついてこれるか?”とオーディエンスを挑発し続けるスタンスはまさにロック!“果たしてオマエたちはついてこれるか?”とオーディエンスを挑発し続けるスタンスはまさにロック!

 8月の始まりとともにライブツアーをスタートさせて1か月余り。VAMPSは仙台のファンを熱狂させ、札幌のファンを狂乱させ、この日福岡での最終日を迎えた。その間、世の中は北京で繰り広げられたアスリートたちの極限の闘いに興奮していたわけだが、Zeppで連日引き起こされた局所的興奮もまた尋常ではなかったであろうことは、この日のライブを見れば明らかだった。
 例によって、ヘビーなオープニングだが、その重心は仙台の初日よりもさらに低くなっている。そこから一度の簡単なMCを挟んで、一気に6曲。ここまでで、彼らが強い確信の中で一つの方向にはっきりと舵をきって進んできたことを実感する。というのは、最初からガンガン飛ばしていくその構成は、バンドを一つのマシンに見立てた場合に、できるだけ早く全体に油を行き渡らせるために選ばれた方法であって、マシン全体に潤滑油が十分行き渡った後にはそのマシンの機能性を広げていく方向に向かうのだろうと初日の時点では勝手に理解していたのだけれど、そうではなくて最初からガンガン飛ばしていくということ自体がこのバンドのスタイルだったということだ。彼らがはっきりと舵をきった方向とはつまりそのストロングスタイル指向のことで、中盤のややロマンティックな傾向が強くなるパートの曲目が仙台とこの日では違っていたのも、この指向を強めるというテーマに沿うものだ。その演奏に、たとえば太い指で刺繍針を扱っているようなぎこちなさがあったとしても、それこそがある意味でこのバンドの男気を伝えるものだろう。MCにしても、オーディエンスとコミュニケーションするというよりは、もっぱら煽る言葉が続き、つまりはステージ全体のアグレッシブ度の高さに情け容赦がない。果たしてオマエたちはついてこれるか?とオーディエンスを挑発し続けるスタンスはまさにロックだ。
 もっとも、この日のオーディエンスのエネルギーの高さは、ステージ上からのそうした挑発にまったく怯むところがなく、むしろ逆に煽り立てるような反応でライブを加熱していった。
「やっと今日で夏を見送れる気がするゼ!」とHYDEに言わしめたのは、“これだけ熱くなれば夏なんて、終わったってかまわない”と思えるほどにこの日のオーディエンスが熱かったということだろう。
 ところで、ツアーにおけるバンドは多くの場合、演奏上のコミュケーション密度を高めることによって各パートのエネルギーをバンドとしての熱に変えていく効率を上げていこうとするものだが、この日のステージを見る限り、VAMPSの方法は各パートの演奏の強度をお互いに正面からぶつけ合って、そのぶつかり合いによってバンドというマシン全体を発熱させようとしているように思える。その方法はいかにもスリリングだし、ある意味では刹那的とも言える。が、その方法は一つの会場に長期滞在する今回のような形だからこそ可能性があるとも言える。さて、その野心的試みはどんな地平にこのバンドを連れていくのか? いよいよ行方が気になるVAMPSツアーである。

(撮影●田中和子 取材・文●兼田達矢)